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代表あいさつ

 写真近年、発展途上国での化石燃料の需要の増大や生産国の政情不安等により、化石燃料のコストが急騰しています。加えて、化石燃料の可採年は数十年から百年程度であることから、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの入手が、我々人類の生活を持続的に維持する上で不可欠です。
 そして、近年の地球温暖化は、化石燃料の大量消費による大気中のCO2の増加がその一因と考えられ、早急に化石燃料の消費を抑制するカーボンニュートラルな代替燃料の開発が期待されています。特に我が国においては、2年前の東日本大震災とそれに伴う津波による福島第一原子力発電所の大規模事故により、火力発電の比重が増しており、震災前に描かれていた原子力エネルギーによるCO2排出量の削減は、もはや非現実的なものとなっています。
 
 現在、水力・風力・太陽光・太陽熱・波力・潮力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギー源の開発が進められていますが、その中でバイオマスだけが液体燃料を供給できるエネルギー源であり、他のエネルギー源は電力としてのみの利用に限られます。

 石油に代表される液体燃料はエネルギー密度が高く、航空機や大型船舶などの大規模輸送手段には今後とも不可欠なものです。また、石油は様々な化学製品の原料としても使用されており、それに代わる物質を供給できるのはバイオマスだけと言えます。

 

 バイオマスは、植物や藻類などの光合成生物が生産する有機物の総称です。つまり、太陽光等で光合成をする際、CO2を取り込んでいます。こうしてできるバイオマス燃料の燃焼により発生するCO2は、大気中に存在したCO2を植物等が取り込んだものであり、大気中のCO2濃度の上昇に影響しないことから、カーボンニュートラルなエネルギー源であると言えます。

 トウモロコシやサトウキビなどから生産されるバイオエタノールやヤトロファなどの不可食植物資源を用いた燃料生産が行われていますが、食糧の供給に必要な耕作地を利用しなければならないことから、食糧問題との関連が指摘されています。

 それに対して微細藻類を用いたバイオマス生産は、非耕作地を活用できること、藻類の生産性が陸上の植物に比べて数十から数百倍も高いことから、特に注目を集めています。

 筑波大学では、微細藻類の中でも炭化水素を生産する種に着目し、その大規模培養による藻類バイオマス生産の基盤技術の創出を目指して研究を行っています。

 

第三世代バイオマス「藻類」に世界が注目

 

 本学には、微細藻類の単離・分類・培養・生理・ゲノム・分子生物学・代謝工学・天然物化学・化学工学等幅広い分野の研究者が集結し、『藻類研究ユニット』を形成しています。このユニットは、国内の藻類バイオマス研究のパイオニアとして認識されており、国内の他大学には見られない、大変ユニークな特色を持つものです。

 

(藻類研究ユニットによる藻類バイオマス関連の取り組み)

図表

 

 この度、『藻類研究ユニット』に数理物質系から化学変換の、システム情報系からエネルギーシステムの専門家を加えたチームを構成し、戦略イニシアティブ(S)『藻類バイオマス・エネルギーシステム研究拠点・Core Laboratory for Algal Biomass and Energy System』として認定を受けました。

 これまでに個々の研究者が獲得した科学研究費補助金、CRESTやNEDO等の資金により、研究基盤の整備を行うとともに、アメリカ、オーストラリア、オランダ、タイ、インドなどの海外の藻類研究拠点との国際連携の推進、藻類産業創成コンソーシアムの設立等による産学連携にも積極的に取り組んできました。また、本年度からは、つくば国際戦略特区の主要プロジェクトとして認定され、加えて東北復興次世代エネルギー開発プロジェクトの1課題にも採択されています。これら複数のプロジェクトの円滑な遂行と、さらなる国際連携・産学官連携の推進のため、当該研究拠点を通じていっそうの研究の発展に努めます。

 

2013年3月
拠点代表 鈴木石根